Damons(2) / 手塚治虫・米原秀幸


2巻発売。
現在本誌のほうで進行中の対ラフィン編よりも断然に面白い対ジェスト・ローレンス。
どうしても悪党のほうに感情移入しやすいんだよなあ。
というのもフィクションだからでしょうね。
これがノンフィクションだったら、ジェストの所業と考え方は許せないんですが、フィクションというのは全ての悪意が肯定できる、その可能性が大いにあるというのが面白みの一つなんでしょう。



逆に言えば、本作の主人公であるヘイトのとる行動、その衝動と原因がストレートすぎるというのもあるかもしれません。
本人にでもならない限り、ヘイトの気持ちはわかりっこありませんが、フィクションの世界で言えばよくありがちなストレートな感情なわけです。
もう、そこに興味が沸かないんだろうね。



ジェストの台詞、「オレが殺してきたムシケラ共とはまるで価値が違うんだよ!!おまえもその家族もムシケラだァ!!」。
その結果、殺しという行動に出るかどうかは我々の生きる世界においては道徳的ではないということは当然。しかし、少なからず共感するところはあるというのがやはりミソなんでしょう。
自分の愛するもの以外の人間が、社会的にではなく、個人の感情において無価値というのは本当によく分かる屈折した感情ですよね。