範馬刃牙(5) / 板垣恵介


ゲバルの血化粧を見るたびに幽遊白書を思い出すseinyolitaです。
なんだか、いまのところびっくりするほどバキの影が薄いバキ三部―範馬刃牙―ですが、これからこれから!と無理からにでも期待しておくことにしましょう。
ゲバルとマウスのバトルについてはまあ、物足りないったらこの上なし。
マイケルをおいやった三人のコンビネーションをどうやって攻略するのか。
つまりは、地球上で国家を脅かすほどの武力をその体に持ち合わせているという設定されている三人に数えられるゲバルは、リアルな格闘技チャンピオンとどう違うのか。そこがかなり楽しみなポイントだったんですよね。
それが、結局は一人をぶちのめせば終了という至極当然の答えが返ってきたわけです。
これは幻滅せざるをえないでしょう。



板垣先生の魅力は絵柄、キャラクター、ストーリーなどは勿論ですが、無理からな設定と板垣理論とでも呼ぼうか、読者からは「破綻している」と言われかねない無茶苦茶な理論が最大の持ち味なわけです。
日に三十時間の特訓とか、砂糖水14kgとか、上げていけばキリがないほどの妄想。
漫画という世界だからこそ、小説とは違って絵によって説得力を持たせられる漫画だからこそ、極端な虚構が面白いと思うんですね。
キャプテン翼なんかが小説になったらどうかと思いますが、漫画だからこそ面白いものになるわけです。
まあ、漫画作品に対して「ありえないから面白くない」という風に考えている方もたくさんいることは事実ですがね。
かのスラムダンクでさえ、そういった批判を受けることはあったわけですから。



しかし、少なくとも板垣恵介先生の作品を楽しみにしている漫画ファンは「ありえないことを描くな!」というような考えはお持ちでないでしょう。そうじゃなかったら板垣先生の作品なんて読みゃあしないんだからさ。
バキというキャラクターにまつわる作品の集大成となる三部において、これまでの予定調和の中で我々バキファンが想像しうる設定や結果は求めていないんですよ。もう、「板垣やりきっちゃったよ!つきぬけちゃったよ!」と言わしてほしいんです。
範馬刃牙も早いものでもう5巻。しかも、地上最強とされる三人のうちの二人が直接対決を始めているわけですからそれほど広がりを期待もできないでしょう。だからこそ、5巻までの間に我々を驚かすような内容がなかった、ということにガックリしているんですよ!
板垣先生!対立精神を忘れずに突っ走っちゃってくださいよ!