PLUTO（3） / 手塚治虫・浦沢直樹

PLUTO (3) (ビッグコミック)

待望の3巻。
待望待望って言うけれども、PLUTOほど待ち侘びた作品もないだろうね。
月並みだし、「そのまんまかよっ？！」と思われるかもだけど、滅茶苦茶面白すぎる。

1巻では設定の導入。最後の最後でアトムが登場。
とりあえず、作品の世界観を提示したところ。
2巻では更に突っ込んだところまでもっていった。
1・2巻の動きはイントロの役割を1巻ラストでアトム、2巻ラストでウランの登場という区切りをつけてテンポ良く行ったという印象。
で、「3巻では少し変わるかなあ」と思っていたら予想以上の動きがあって気持ちよかったですね。

ついにプルートゥが登場。
つーても全容まではまだまだ。
何を意図しているのかさえわからない状態ですからね。
現在、正義の味方としてゲジヒト、アトム、ウラン。相対するメインとなる敵としておそらくペルシア、アブラー博士にプルートゥ。人間とロボットという関係性への問題喚起をしてくれるガヤとして、KR団。その中でも特に私怨でゲジヒトを憎むアルドル。という感じで主要キャラが配置。
各々の思いが複雑に交差していくんだろうなあ、と想像するだけで最高の気分になれます。

3巻を読むまでは「MONSTER」や「20世紀少年」の系譜を継ぐのかと、単純に考えていましたが、これまでとは違う描写も見られて、更にテンションはアップ。
プルートゥを描いたところなどは、少年誌を読んでいるときのような、ワクワク感やドキドキ感などの「熱さ」を感じました。
荒木飛呂彦先生の描写が、最近凄みを増しているように。浦沢先生のそれも私の期待を超えてくれています。

しかし、年に一冊というペースで発売されている作品であるだけに、読み終えたあとに一種の寂しさに襲われます。
「こんな面白い漫画の続きが読めるのは来年なのか…」と。
20世紀少年が終了したらペースアップするのかどうかはわかりません。
20世紀少年自体もクライマックスには向かっていますが、それは近くないと予想されます。
どちらにせよ4巻発売はまた来年。また、耐え忍ぶ戦いが始まることになります。